ドラマ「ハンドメイズ・テイル 侍女の物語」全話見た感想と評価

ハンドメイズテイル 侍女の物語

海外ドラマ「ハンドメイズ・テイル 侍女の物語」シーズン1を全話観ました。
個人的な感想と評価です。


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海外ドラマ「ハンドメイズ・テイル 侍女の物語」とは?

有名小説を原作に、ディストピア世界を描いた衝撃の問題作。
数々の賞に輝いた、米国Huluオリジナル制作のドラマです。

舞台は、近未来の独裁宗教国家ギレアド共和国。
健康的な女性は強制的に連行され、ただ子供を産むためだけの道具として、支配者層である司令官たちに「侍女」として仕える恐ろしい世界で、侍女となってしまった主人公オブフレッドの壮絶な人生が描かれていきます。

美しい映像で描かれる、常軌を逸した恐怖の社会。
自由を奪われ、惨い仕打ちが続く絶望的な毎日の中で、わずかな希望を糧に生きるオブフレッドを中心に、さまざまな人々の人生模様が濃密に描かれていく、見ごたえのあるドラマです。

原作は、カナダの作家マーガレット・アトウッドの同名小説「侍女の物語」。
1985年に発表されたベストセラー小説で、今もなお多くに知られる有名作です。

1990年には、映画も制作されました。
監督は、「ブリキの太鼓」のフォルカー・シュレンドルフ。
オブフレッド役ナターシャ・リチャードソン、司令官ウォーターフォード役ロバート・デュバル、夫人役フェイ・ダナウェイ、ニック役エイダン・クインと、豪華キャストが出演しています。

そんな有名作品を、米国Huluがオリジナル制作でドラマ化したのが今作。
製作総指揮は、「ALPHAS/アルファズ」「ユーリカ 地図にない街」などのプロデューサー、ブルース・ミラー。
脚本家としても活躍し、今作でも第1~3・10話のシナリオも担当しています。
今作のシナリオは、本当に素晴らしかったですね!

監督は、

■ 第1~3話
「Looking/ルッキング」「Vinyl/ヴァイナル」「Divorce/ディボース」の撮影監督リード・モラーノ。
■ 第4~5話
「ファーゴ シーズン3」「ゼルダ すべての始まり」「アウトランダー」などのマイク・バーカー。
■ 第6~7話
「ヘムロック・グローブ」「デアデビル」「アメリカン・ゴッズ」のフローリア・シジスモンディ。
■ 第8~9話
「ダムネーション」「GLOW ゴージャス・レディ・オブ・レスリング」のケイト・デニース。
■ 第10話
「ハウス・オブ・カード 野望の階段」「パニッシャー」「ウォーキング・デッド」などのカリ・スコグランド。

・・・と、スゴい顔ぶれ。

序盤を演出したリード・モラーノは、撮影監督。
第6~7話担当のフローリア・シジスモンディは写真家としても有名で、「アメリカン・ゴッズ」の、あの最終話を演出。
・・・そりゃ、映像美がハンパないわけです。(笑)

しかも、マイク・バーカー以外は、みんな女性監督。
女性目線からの繊細な演出も、見どころだと思います。

キャストとしては。
主人公オブフレッドを演じるのは、「マッドメン」ペギー・オルセン役や、「トップ・オブ・ザ・レイク」主人公ロビン役で知られるエリザベス・モス。
まさに、体当たりの大熱演!
エミー賞をはじめ、各賞の主演女優賞を総なめにした演技は必見!

そして、司令官ウォーターフォードに、映画「恋におちたシェイクスピア」「フラッシュフォワード」のジョセフ・ファインズ。
ウォーターフォード夫人セリーナ・ジョイに、「CHUCK/チャック」「24:リブ・アナザー・デイ」のイヴォンヌ・ストラホフスキー。
イヴォンヌ・ストラホフスキーは、本当に本当に演技がすざまじかった!
猛烈に難しい役どころでしたが、見事だったと思います。

ほかにも、リディア叔母役に、「オリーヴ・キタリッジ」「LEFTOVERS/残された世界」のアン・ダウド。
モイラ役に、「オレンジ・イズ・ニュー・ブラック」のプッセイ、サミラ・ワイリー。
オブグレン役に、「ギルモア・ガールズ」のアレクシス・ブレデル。
ジャニーン役に、「オレンジ・イズ・ニュー・ブラック」のトリシア、マデリーン・ブルーワーなどが出演しています。

個人的には、ジャニーン役マデリーン・ブルーワーが、すごくよかったです!
もっと評価されてもいいんじゃないの?
素晴らしかったです!

他にも、「オーファン・ブラック 暴走遺伝子」の「あの人」もゲストで登場。
また、第1話では、原作者のマーガレット・アトウッドも、叔母役でチラリと出演してるそうです。(ヒント:ビンタ)


今作は、エミー賞で13部門にノミネートされ、ドラマシリーズ部門の作品賞、監督賞(リード・モラーノ)、脚本賞(ブルース・ミラー)、主演女優賞(エリザベス・モス)、助演女優賞(アン・ダウド)、ゲスト女優賞(アレクシス・ブレデル)など8部門を受賞。
ゴールデン・グローブ賞でも2部門を受賞するなど、数々の賞に輝いた、クオリティも評価も高い秀作ドラマです。
(個人的には、ウォーターフォード夫人とジャニーンに、賞をあげてほしかった!)


海外ドラマ「ハンドメイズ・テイル 侍女の物語」は、現在シーズン5まで制作されています。
シーズン1は、2017年制作。
各話45~60分程度の全10話です。

現在、Hulu(フールー)で、シーズン5まで配信されています。
(紹介している作品は、2023年1月時点の情報です。現在は配信終了している場合もありますので、詳細は Hulu の公式ホームページにてご確認ください。)


Hulu公式サイトは、こちら。

【公式サイト】Hulu

  
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※以下、極力配慮して書いたつもりですが、ややネタバレしていますので、ご注意ください。

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「ハンドメイズ・テイル 侍女の物語」あらすじ

そう遠くない近未来。
環境汚染などにより女性の不妊率が上昇、子供が生まれない社会的な危機の中で、クーデターによって独裁宗教国家ギレアド共和国が誕生。
徹底した軍国主義と身分制度の恐怖政治で、不満分子の粛清を繰り返し、これまでの社会制度は崩壊してしまいます。

そして政府は、深刻な不妊問題を解決すべく、妊娠可能な女性を強制的に連行し、支配者層である司令官たちの子供を産むための道具「侍女」として、奉仕させることに。

猛烈な勢いで変わっていく国の情勢に、主人公ジューンは、夫ルークと娘ハンナと共に、国外脱出を試みるのですが・・・。
しかし、途中で捕まり、強制的に「侍女」とさせられ、司令官ウォーターフォードに仕えることになります。

家族とも引き離され、自由もなく、逆らえば殺される、まさに奴隷のような生活の中、侍女オブフレッドとして生きるジューン。
果たして、彼女の運命は?

・・・というようなストーリーです。

予告動画はこちら。
「ハンドメイズテイル 侍女の物語」予告


※以下、さらにネタバレを含みますので、ご注意ください。

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美しくも恐ろしい世界で描かれる濃密な人間ドラマ!

かなり衝撃的な内容で、色々と賛否両論あるとは思いますが。
ドラマ作品としては、クオリティが高く、ストーリーも深くて見ごたえ十分。
・・・てか、色々スゴすぎた!

決して明るい物語ではないですが、単純におもしろかったです!
そりゃ賞も獲るよね、という納得のクオリティ。

もちろん、あまりに惨い内容に、こりゃダメだという方も多いかと思います。
逆に、この内容で、まさかここまでハマるとは!という方も、多いかもしれませんね。

丁寧に構築された世界観や、それを描く映像演出が素晴らしかったです!
クラシカルな豪邸、寸分のズレもなく並べられた物たち、無機質な白い空間。
時代の感覚もマヒして、生活感も現実味もない、常軌を逸した世界。
過去の回想で描かれる平穏な日常との対比もあって、強烈でしたね。

ビジュアル的にも、光と影や、色使いが巧み!
シンメトリー(左右対称)や、俯瞰(真上)からの構図も印象的でした。
繊細で美しい映像だからこそ、そこで描かれる異様な恐怖が際立っていたと思います。

赤い服の侍女がゾロゾロと歩いていく姿は、美しいんだけど異様。
例の儀式も、美しく上品な演出だけど、それだけに、おぞましさや滑稽さも痛烈。

美の中で、さらに狂気が際立つ描き方は、本当に見ごたえがありました。

また、シナリオも素晴らしかったと思います。
オブフレッドのモノローグ(ナレーション)は、まるで小説を読んでいるかのような雰囲気もあって、よかったですね。
それでいて、モノローグに頼らず、心情をガッツリ映像で描いているのも、さすが。

また、現在のオブフレッドだけを追うのではなく、過去を巧みに織り交ぜて対比させる構成も、見事でした。
さまざまな人間模様を、深く描いているのもさることながら。
当たり前だと思っていた日常が崩壊していく様や、過去のいきさつなども丁寧に描いていて、リアリティや説得力があったと思います。

冷静に考えれば、こんな恐ろしい社会になるなんて、ちょっと現実離れしてると思うのですが。
実際に起こっている社会問題や女性蔑視の問題なども取り入れ、リアリティがありましたね。
あり得るかも・・・という現実味が、さらに恐怖を増していたと思います。

他にも、セリフや小道具の使い方など、書いたらキリがありませんが。
かなり練り込まれた、クオリティの高いシナリオだったと思います。

絶望と希望!愛と憎悪!見ごたえのあるエピソード

ストーリーとしては、正直、序盤は結構、見るのが心苦しかったですね。
クオリティも高くて、おもしろかったですが、やっぱり、あまりに惨くて見てられない感じ。
オブオーエンの件など、なかなか衝撃的なエピソードも多かったですね。
・・・平たく言えば、いわゆる「胸糞展開」。(笑)
まさに、絶望的なディストピアの恐怖が、これでもか!と描かれていましたね。

ただ、中盤から色々と展開が広がってからは、ドラマとして加速していったと思います。
メチャクチャ見ごたえありましたね。

悪夢のような毎日の中で、わずかな希望を見出していくオブフレッド。
そしてまた、強烈な現実を突きつけられて、どうにもならない絶望感。
第6話のメキシコ代表団のエピソードとか・・・もう残酷すぎて・・・絶句。

希望と絶望の狭間で揺れ動く、オブフレッドのエピソードは、本当に見ごたえがあったと思います。
ある意味、どうなってしまうのか、という緊張感があって、先が読めずに気になる面白さでしたね。

また、ウォーターフォード夫人やニック、モイラ、ジャニーンなど、周りを取り巻く人々の物語も、素晴らしかったです。

中でも、ウォーターフォード夫人のエピソードが、すごかったです!
子供を持てないコンプレックスや、妻としての尊厳や夫への愛情が、繊細だけど強烈に描かれていたと思います。

あんな狂気の世界で、なに不自由なく生活できているのに。
あの異様なまでの執着。
・・・でも、本当に心底、子供が欲しかった、というよりは。
女性として妻としての劣等感を乗り越えるためでもあるでしょうし、夫に愛され家庭を持ちたかった、というのも大きいのかもしれませんね。
とてもセリフだけでは言い表せない、複雑で繊細な心情も、見事に描かれていたと思います。
立場の違う、オブフレッドとウォーターフォード夫人の対比も、すごくよかったです。

終盤は、もう、どうなる?どうなる?の連続。
リディア叔母が見せる人間味も、すごくよかったですよね。
ジャニーンのエピソードも見ごたえ十分!

そして!
何といっても、最終話がスゴすぎたっ!
前半の、あの残酷さ!
ある意味、このドラマで一番の胸糞展開かも。(笑)
あのオブフレッドは、見ていられなかったですね。
も~、泣いた!

さらに、後半!
侍女たちの気高き行動に、胸が震えた!
猛烈な映像美で描かれたからこそ、悲哀も際立ってましたね。
も~、泣いた!泣いた!泣いた!

最終話が、このクオリティの映像美やシナリオでなかったら。
もしかしたら、この作品の評価も違っていたかも。

それだけ鮮烈で、余韻の深い、最終話だったと思います。

絶望と希望。美しさと狂気。過去と現在。光と影。立場の違う女性たち。
色々な相反するものの対比で描かれる、深みのある素晴らしいドラマだと思います。

胸糞展開も多いですが(笑)絶望的な世界で生きるオブフレッドの物語は、本当に心を揺さぶると思います。
できれば、最後まで見てほしい作品です。

・・・と、書いてる私も、見る前は、まさかこんなにハマるとは、到底、思えなかったんですけどね。(笑)

オブフレッドはどうなるのか?続きが早く見たい!

個人的には、猛烈におもしろかったです!
評判は色々と聞いてましたが、実際に見たら、やっぱりスゴかった!
好みが分かれる内容ではありますが、ぜひぜひ見てほしい秀作だと思います。

最終話のラストは、気になる終わり方でしたね。
あの後、オブフレッドは、どうなってしまうのか?

続編は、すでに制作されています。
とにかく早く見たいっ!
期待したいと思います。