ドラマ「ステーション・イレブン」全話見ました 感想と評価

ステーション・イレブン

HBO Maxオリジナル制作の海外ドラマ「ステーション・イレブン」、全話見ました。
個人的な感想と評価です。


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海外ドラマ「ステーション・イレブン」とは?

ウイルス蔓延で崩壊した世界を舞台に、生き残った人々の人間模様を描くヒューマンドラマ。
HBO Maxオリジナル制作の作品です。

ある夜のアメリカ・シカゴ。
舞台「リア王」を上演中、主演男優が突然、舞台で息を引き取ります。
騒然とする中、舞台に出演していた子役キルステンは、観客として訪れていたジーヴァンと出会い、家まで送り届けてもらうことに。
やがて二人は、新型インフルエンザが世界中で急激に流行し、次々と人が死んでいく危機的状況を知ることになります。

そして、それから20年後。
ウイルスの蔓延で、人類のほとんどが死滅し、世界は崩壊。
生き延びて成長したキルステンは、旅の楽団の女優として各地をまわり、シェイクスピアの劇を上演していました。
仲間たちと共に、舞台女優として生きることに喜びを感じて日々を過ごしていたキルステンでしたが、そんなある日、「予言者」と名乗る不気味な集団から狙われたことを契機に、思わぬ危険に巻き込まれていくことになります。

カギとなるのは、ある女性が情熱をかけて書き上げた、一冊のビジュアルノベル「ステーション・イレブン」。
その本が、過去と未来、そして、キルステンをはじめとした、さまざまな人々の運命的なつながりを生み、やがて物語は大きな結末を迎えることになります。

このドラマは、ウイルスで世界が崩壊する中でのサバイバルを描く、ハラハラドキドキなエンターテイメント大作・・・では、ありません。
あくまでも、登場人物たちの人生模様を、じっくり深く描いたドラマ性中心の作品です。

「文明崩壊後の世界を描くSFサスペンス」「壮大なスケールの娯楽大作」を期待すると、ちょっと難しいかも。

一冊の本「ステーション・イレブン」をめぐる、人々の数奇なつながり。
年代を超え、愛憎、出会いと別れ、生と死、絆と裏切り・・・などなど、人間の本質が独特の世界観で鮮烈に描かれていきます。

・・・じゃ、娯楽大作じゃないなら、退屈で眠たくなるの?というと、そんなことは、まったくなくて。
過去と未来が複雑に絡み合った「謎」が多くて、興味津々。
思わぬ真相や、意外な人間関係に、目が離せない面白さ。

そして、次第に衝撃的な展開も増量。
時には驚いて言葉を失い、時には胸アツすぎて泣いちゃうと思います。(笑)

人間模様を深く描く見ごたえあるドラマ性と、謎や驚きに目が離せない娯楽性。
どちらもクオリティの高い、素晴らしい作品だと思います。

ちょっとクセ強すぎて合わないかも・・・と、思っても、ぜひぜひ、ぜひぜひ、最後まで見てみるのが、おすすめです。
・・・諦めないで。(笑)

原作は、エミリー・セント・ジョン・マンデル作の2014年の同名小説「ステーション・イレブン」。
翻訳本も出ているようで、日本でも読むことができます。
今現在、U-NEXTの「書籍」から、デジタル版をポイント利用で読むこともできるようですよ。
ドラマ版と比べてみるのも、いいかもですね。

今作は、米国HBOの動画配信サービス「HBO Max」のオリジナルドラマです。
HBOは、「ゲーム・オブ・スローンズ」「ウエストワールド」などの作品で知られ、最近では「メディア王 華麗なる一族」も大人気。
HBO Maxでは、オリジナル作品として、「ピースメイカー」「レイズド・バイ・ウルヴス」「And Just Like That…/セックス・アンド・ザ・シティ新章」といったヒット作が続々制作されています。

製作総指揮は、「LEFTOVERS 残された世界」、HBO Maxオリジナル「Made for Love」、Netflixオリジナル「マニアック」などのパトリック・サマーヴィル。
今作では、脚本も務めています。

そして、ヒロ・ムライも製作総指揮と監督で参加。
ドラマ「アトランタ」「バリー」などで活躍する、いま大注目のディレクターです。
今作では、第1話と第3話でメガホンを取っています。
・・・もう、そのふたつは、他とはちょっと違うというのが一目瞭然。
注目です。

キャストとしては。
20年後の大人になったキルステン役に、「ホルト・アンド・キャッチ・ファイア」や映画「ブレードランナー 2049」「ターミネーター:ニュー・フェイト」のマッケンジー・デイヴィス。
いま注目されている女優さんです。
今作も大熱演で、強い女性ながら、時折、幼い頃の、あどけない表情を見せるあたりは、演技の幅が広くて素晴らしかったですね。

8歳のキルステンは、ディズニープラスの映画「フローラとユリシーズ」で注目のマチルダ・ローラーが演じています。

キルステンと出会うジーヴァンには、映画「イエスタデイ」「TENET テネット」のヒメーシュ・パテル。
舞台「リア王」の主役を演じた、有名映画俳優アーサー・リアンダーに、「モーツァルト・イン・ザ・ジャングル」ガエル・ガルシア・ベルナル。
アーサー元妻で、物流会社に勤めるミランダに、「ザ・ハーダー・ゼイ・フォール:報復の荒野」ダニエル・デッドワイラー。
アーサーの親友クラーク・トンプソンに、「バークスキンズ」「王への手紙」デヴィッド・ウィルモット。
タイラーの母エリザベスに、「メディア王 華麗なる一族」「マスターズ・オブ・セックス」ケイトリン・フィッツジェラルド。
息子タイラーに、「リベンジ」「HERE AND NOW 家族のカタチ」ダニエル・ゾヴァット。

このドラマは、主人公キルステンはもとより、アーサーと元妻ミランダ、クラーク、エリザベス、そしてタイラーの物語でもありますね。
個人的には、ミランダ役ダニエル・デッドワイラーが、本当に素晴らしかった!
実力者俳優の共演で、見ごたえあると思います。

ほかにも、旅の楽団リーダーのサラに、「オレンジ・イズ・ニュー・ブラック」のロリー役ロリ・ペティ。
サラの元パートナーであるギルに、「弁護士ビリー・マクブライド」「ジーニアス アレサ」デヴィッド・クロスなどが出演しています。

あと、個人的にツボだった(笑)のは、ミランダとマレーシアに同行する同僚ジム役ティモシー・シモンズ。

Veep/ヴィープ」のゲスなジャイアント(笑)ジョナ役で知られていますが、今作でも期待通り、そのまんま。(笑)
・・・なんですが、そんな男が直面する悲劇。
そして、ミランダとは対照的な大男。
その対比が、猛烈に効果的。
ナイスなキャスティングだったと思います。

人種も年齢もキャリアも異なる、かなり多彩な出演者の顔ぶれだと思います。

今作「ステーション・イレブン」は、本国では2021年12月16日から放送されました。
クオリティも高く評価され、2021年を代表する作品とも言われています。
2022年度の賞レースでも、かなりノミネートされるのではないでしょうか。
大注目!

海外ドラマ「ステーション・イレブン」は、現在、シーズン1まで制作されています。
シーズン1は、2021年製作。
各話50分程度の全10話です。

今作はミニシリーズなので、あくまで今現状では、シーズン2はありません。
ただ、後々になって、続編が制作されるパターンも増えてきているので、もしかしたら、突然シーズン2の発表があるかも?しれませんね。(憶測です)

現在、U-NEXT(ユーネクスト)で配信されています。
(本ページの情報は2022年5月時点のものです。最新の配信状況はU-NEXTサイトにてご確認ください。)

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※以下、ネタバレを含みますので、ご注意ください。

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ドラマ「ステーション・イレブン」あらすじ

冬のアメリカ・シカゴ。
映画俳優として人気を馳せるアーサー・リアンダー主演の舞台「リア王」が初日を迎え、劇場は多くの人で賑わっていました。
しかし、上演の途中、アーサーは突然、舞台で倒れ、そのまま息を引き取ってしまいます。
アーサーに可愛がられていた子役のキルステンは、恩師の死を目の当たりにし、まわりが騒然とする中で、ひとりぼっちに。
観劇に来ていたジーヴァンは、そんなキルステンの様子を見かね、家まで送り届けることになります。

二人は夜の街を歩き始めるのですが、そこに病院に勤めるジーヴァンの姉から連絡が入り、新型インフルエンザが猛烈な勢いで流行し、多くの人々が死んでいることを知らされます。
ジーヴァンは、キルステンを連れ、弟のフランクが住むマンションへと向かうのですが・・・。

その後、ウイルスの猛威は世界中で多くの死者を出し、次第に社会は崩壊。
キルステンは、ジーヴァンやフランクと生活を共にしながら、かつてアーサーから貰った本「ステーション・イレブン」を何度も何度も読みながら、それを支えに、過酷な現実に耐える日々を過ごすことになります。

そんな悲劇から20年後。
時は流れ、生き延びて28歳となったキルステンは、「旅の楽団」に女優として参加し、各地のコミュニティーを回る旅を続けていました。
人類の多くは死に絶え、文明が崩壊した世界でも、仲間たちと共に、シェイクスピアの劇を演じることに充実した日々を送るキルステン。
しかし、「予言者」と名乗る謎の集団に狙われ、旅の楽団は、大きな悲劇に見舞われることに。
キルステンは復讐に燃え、一人で「予言者」の元へと向かいますが、「予言者」たちが、あの「ステーション・イレブン」の一節を知っていたことから、事態は思わぬ方向へと進みま始めます。

「ステーション・イレブン」をめぐり、過去と現在、さまざなま人々の人生が交錯し、やがて「文明博物館」と呼ばれる場所に集まることになるキルステンたち。
そこでの運命の結びつきが、キルステンの人生を大きく変えていくことになるのでした。

・・・というようなストーリーです。

予告動画は、こちら。
「ステーション・イレブン」予告編

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※以下、さらにネタバレ含みますので、くれぐれも、ご注意ください。

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ドラマ「ステーション・イレブン」感想 人間の本質を深く描く傑作!

日本配信の前から、かなり評判がいいと噂だった話題作。
全話見ましたが・・・いやあ~、期待以上でした。
圧巻のクオリティ。

時間軸の交差が激しくて、それがまた効果的で面白かったです。
世界が崩壊する過程を描くエピソードでは、混乱する社会、命の危険、愛する人を失う絶望感・・・。
実際にウイルス騒動を経験した身としては、あまりに現実的で、身につまされる描き方でした。

とくに、第3話のマレーシアでのミランダのエピソードは痛烈。
「生き残るだけじゃ不十分。間違った生き方のまま死にたくない」・・・「ステーション・イレブン」の、あの一節。
「愛した人が死んで、世界が崩壊するのに、自分は仕事してる」と言い放つ、あのクライマックス。
ウイルス騒動が、自分の生き方を見つめ直す機会でもあった我々には、本当に胸に刺さって、考えさせられる衝撃だったと思います。

また、アーサーとの出会いと別れや、誰が見るでもない、いつ完成するともしれない「ステーション・イレブン」への情熱などなど、見ごたえありましたね。
ヒロ・ムライ監督回でしたが、ミランダとアーサーの距離感の映像演出が、素晴らしかったです。
どのエピソードもすごくよかったですが、とりわけ第3話は猛烈に神回だったと思います。

全体的なドラマ性としても、それぞれの登場人物の描き方が深くて濃厚。
主人公はキルステンですが、どのキャラクターのエピソードも魅力的で、もはや群像劇。

過去と未来、生と死、愛情と憎しみ、親と子。
欲望、裏切り、希望、そして悲劇。
「ステーション・イレブン」の一節も、独特のリズムと言い回し。
時に、亡霊も出てきて語りかける・・・。
まさに、シェイクスピアの戯曲のテイストでしたね。

それが、社会が崩壊した独特な世界で描かれていて、シュールだけど、見入ってしまう映像美。
・・・飛行機を燃やしちゃったりするあたりは、HBOらしいお金のかけ方だったなあ。(笑)
異世界に入り込むような、個性的な魅力もよかったです。

どの登場人物のエピソードも、深く丁寧に描いて、見ごたえありましたね。(そいういとこもシェイクスピア的)
人間模様を描くドラマとして、素晴らしかったと思います。

そして、謎が多くて、意外な真相や繋がりがあるのも、続きが気になる面白さでした。
いわゆる「時間軸いじり系」ですが(笑)「発端」と「結末」はわかるけど、それに至った「過程」がわからない。
なぜキルステンは一人なのか?
ジーヴァンとフランクは、どうなったのか?
ミランダは、どうなった?
さらに、過去に意外なつながりがあったことがわかって、結構びっくり。
それらが「ステーション・イレブン」をめぐって、少しずつ分かっていくのが、驚きも多くて面白かったです。

あと、意外と驚愕展開も多め。
各話の最後は衝撃的なものが多く、思わず言葉を失ったりすることも、しばしば。
そういう意味では、見入ってしまう娯楽性も高かったように思います。

濃厚に描く、さまざまな人間模様。
でも決して退屈ではなく、驚きも大きくて、言葉を失いながらも見入っちゃう面白さ。
時間軸もバラバラですが、散漫にならず、どころか緻密。
本当に、クオリティの高い作品だと思います。

最終話に向けては、もう怒涛の展開。
ホント、最終話はボロ泣き。
見終わった後は、猛烈に余韻が深かったですね。
心に響くドラマでした。

・・・ただ。
あえて言えば、見た人、みんながみんな大絶賛するか?と、言われると、ちょっと難しいかもしれませんね。
娯楽大作ではないし、世界観がシュールに思えて、関係性が複雑で理解できないと、入り込むのに苦労するかも。
そのあたりが、評価が分かれるところかもしれません。

・・・あと。
結構、映画ネタが多かったですね。
個人的には、第2話で入団オーディションを受けるダンの演目が、映画「インデペンデンス・デイ」の有名なアレ。
・・・なんか・・・あれって結局、どこの誰がやっても感動しちゃうんだね、という再発見。(笑)

シーズン2は今のところなし

個人的には、猛烈に面白かったです!
本当に素晴らしかったです!
余韻の深い、人間の本質を描いた見ごたえある作品。
もしかしたら、好みは分かれるかもですが、個人的には期待以上でした。

この作品はミニシリーズで、当初から続編となるシーズン2の予定はありません。

・・・とか言いながら、評判がいいと、しれっと「シーズン2やります」みたいなパターンも増えてきた昨今。
もしかしたら、後々で続編が出てくる可能性もなくはないと思います。

ただなあ・・・最後はいい終わり方だったので、このまま終わってほしいかなあ。
あの続きって、なんか、ちょっと、無粋な気がする。

個人的には、このまま終わりのほうが、余韻が深くていいような気がしますね。